文部科学省は、「学校教育法施行規則の一部を改正する省令の制定並びに幼稚園教育要領の全部を改正する告示、小学校学習指導要領の全部を改正する告示及び中学校学習指導要領の全部を改正する告示等の公示について(通知)」で、中学校の移行措置を2009(平成21)年度・2010(平成22)年度・2011(平成23)年度の3年間行うと表明しています。
数学の場合、必要最小限の「消極的な移行措置」なら2年間で足りますから、3年間行うということは、
授業時間数をふやして、新指導要領で新たに加わる学習内容を積極的に追加する
ことを意味します。このような「積極的な移行措置」の中身は、具体的にどうなるのでしょう。
文部科学省の自由度が高いので困難が大きく、的中する確率は低いのですが、あえて予想してみましょう。
「消極的な移行措置」は、「必要最小限の移行措置の予想――中学校〈数学〉」に示すようになります。
「積極的な移行措置」は、次のような基本方針にもとづいて行われるのではないでしょうか。
このように学年進行で新指導要領(に近似の内容)を順次適用していく方法が、子どもにも教員にも、最も単純で分かりやすいと思われます。
また、「消極的な移行措置」に比べて、新指導要領の実質的な実施時期が1年早まります。(諸般の事情で、「完璧に」とはいきませんが……)
この2本柱により、各年度に適用される指導要領の新旧別は、次のようになります。( )内は授業時間数です。
中学1年 | 中学2年 | 中学3年 | |
---|---|---|---|
2009(平成21)年度 | 新 (週4コマ) | 旧 (週3コマ) | 旧 (週3コマ) |
2010(平成22)年度 | 新 (週4コマ) | 新 (週3コマ) | 旧 (週3コマ) |
2011(平成23)年度 | 新 (週4コマ) | 新 (週3コマ) | 新 (週4コマ) |
文部科学省の「中学校学習指導要領」第2章第3節〈数学〉をもとにすると、2009(平成21)〜2011(平成23)の各年度に「積極的な移行措置」で具体的に何をしなければならないかが明らかになります。詳細は、次のページを参照してください。
●2009(平成21)年度の「積極的な移行措置」の予想――中学〈数学〉
●2010(平成22)年度の「積極的な移行措置」の予想――中学〈数学〉
●2011(平成23)年度の「積極的な移行措置」の予想――中学〈数学〉
「積極的な移行措置」は、文部科学省の裁量範囲がきわめて大きいため、可能性としては「無限にある」といっても過言ではありません。ここに述べた予想は、その中でも
から、一つの典型であり、最もありそうに思われます。
実際の移行措置は、この典型をもとに、いくつかの変更を加えたものになるのかも知れません。
ここに述べた予想が実際に行われる場合、生徒に配布される第1学年用と第3学年用の旧教科書に〈学習内容の欠落〉が生じ、それを補うために手当てをしなければなりません。
2012(平成24)年度を待たず、可能な範囲でできるだけ早く、第1学年用から学年進行で、新教科書を提供するのがよいと思われます。