移行措置で中学1年〈理科〉に新しく追加される学習内容に授業時間を何コマ割り当てるかについて、教科書会社5社が示している案は次の通りです。――「東書」は東京書籍、「啓林」は新興出版社啓林館、「大日」は大日本図書、「学図」は学校図書、「教出」は教育出版の略。
大きな枠の中での各社の自由な工夫により、移行措置の実現方法がいろいろ多様に提案されつつあります。学校現場では、それらの案から自校の実状に最も近いものを選び出し、それをさらに改良する形で移行措置が行われることでしょう。
東書 | 啓林 | 大日 | 学図 | 教出 | ||
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力の大きさとばねののび | +2 | +2 | +1 | +2 | +2 | 力の大きさとばねののび |
重さと質量の違い | +1 | +1 | 重さと質量の違い | |||
水 圧 | +2 | +1 | +1 | +1 | +2 | 水 圧 |
浮 力 | +2 | +1 | +1 | +1 | 浮 力 | |
プラスチックの性質 | +1 | +1 | +1 | +1 | +1 | プラスチックの性質 |
密 度 | +1 | ±0 | +1 | +1 | 密 度 | |
状態変化の粒子モデル[註1] | +1 | +1 | +1 | +1 | +1 | 状態変化の粒子モデル[註1] |
溶解の粒子モデル | +1 | +1 | +1 | +1 | +2 | 溶解の粒子モデル |
質量パーセント濃度 | +1 | +1 | +1 | 質量パーセント濃度 | ||
種子をつくらない植物のなかま | +2 | +2 | +2 | +2 | +2 | 種子をつくらない植物のなかま |
断層・しゅう曲 | +1 | ±0 | +1 | +1 | +1 | 断層・しゅう曲 |
代表的な火山岩・深成岩 | +1 | ±0 | +1 | ±0 | ±0 | 代表的な火山岩・深成岩 |
合 計 | +14 | +11 | +11 | +13 | +12 | 合 計 |
中3への移動[註2]による減少 | −5 | −6 | −6 | −6 | −5 | 中3への移動[註2]による減少 |
差し引き合計 | +9 | +5 | +5 | +7 | +7 | 差し引き合計 |
[註1]「粒子の運動」をふくむ。 [註2]中3へ移動するのは「力のつり合い」と「酸・アルカリ・中和」。
この一覧表は、2009年(平成21年)3月11日現在の公表資料に基づいています。
中学1年は、学習内容は増加するのに、授業時間数は旧のままです。限られた時間の中で、やりくりに各社とも工夫をこらし、授業時間の増を年間で5〜9コマにおさえています。
「水圧」+「浮力」で〈東書〉の配当時間の多さ(4コマ)が目立ちます。〈啓林〉〈大日〉〈学図〉〈教出〉は2コマです。
「断層・しゅう曲」と「代表的な火山岩・深成岩」では、〈啓林〉の配当時間の少なさが目立ちます。「断層」と「代表的な火山岩・深成岩」は現行教科書で学習している内容と実質的に同じであり、新たに加わるのは「しゅう曲」だけだとの判断に基づいていると想像されます。