天地人研究所 株式会社
天と地とその中にすむ人 ―― 天地人 ―― あめつちひと
―― 実生活のいろいろなところに成長のきっかけがある ――
小学〈理科〉の「消極的な移行措置」の予想
■ 必要最小限のことのみをする場合
小学校の新指導要領は平成23年度から本格的に実施されます。
文部科学省の「小学校学習指導要領」第2章第4節〈理科〉をもとにすると、必要最小限の移行措置(子どもに学習内容の欠落や重複が生じないようにするための移行措置)には2年間が必要であり、具体的には次のようになると考えられます。
平成21年度
●小学5年 ← 新指導要領実施時の中学2年
- 「おもりが他のものを動かすはたらきは、おもりの重さや動く速さによって変わる(物体の衝突)」を削除
- この内容は中学3年時に(新指導要領で)学習するので、小学5年のこの時点で学ぶ必要はありません。――学習の重複を避けるための措置です。
「物体の衝突」は「ふりこの運動」との選択で、2つのどちらか一方を学ぶことになっていますが、この措置により、「ふりこの運動」が必修になります。
平成22年度
●小学4年 ← 新指導要領実施時の小学5年
- 「天気によって1日の気温の変化がちがう」を追加
- この内容は小学5年時に学習しない(新指導要領で小5から小4に移動する)ので、学習の欠落を避けるため、小学4年のこの時点で学んでおく必要があります。
●小学5年 ← 新指導要領実施時の小学6年
- ―― 平成21年度の措置に加えて、さらに次のことを行う ――
- 「電流が流れているコイルは鉄心を磁化する(電磁石)」
「電流の向きが変わると、電磁石の極が変わる」
「電磁石の強さは、電流の強さやコイルの巻数によって変わる」を追加
- この内容は小学6年時に学習しない(新指導要領で小6から小5に移動する)ので、学習の欠落を避けるため、小学5年のこの時点で学んでおく必要があります。
- 「てんびんのしくみとはたらき」
「てこのつり合いの規則性」を削除
- この内容は小学6年時に(新指導要領で)学習するので、小学5年のこの時点で学ぶ必要はありません。――学習の重複を避けるための措置です。
■ 問題点
以上は、学習内容に欠落や重複が生じないようにするための必要最小限の措置(消極的な移行措置)です。
しかし、実際には、これのみに止どまらず、平成21年度と22年度の2年間にわたり、新指導要領で新たに加わる学習内容の一部を前だおしした「積極的な移行措置」を行うことになると思われます。
常在成長(じょうざいせいちょう) ―― いつでもどこでも成長できる