天地人研究所 株式会社
天と地とその中にすむ人 ―― 天地人 ―― あめつちひと
―― 実生活のいろいろなところに成長のきっかけがある ――
小学〈理科〉の移行措置 ―― 2009年度(平成21年度)
文部科学省が2008年(平成20年)3月28日に告示した「小学校学習指導要領」第2章第4節〈理科〉および6月13日に告示した移行措置(学習内容や授業時間数)の小学〈理科〉部分などをもとにすると、2009年度(平成21年度)の移行措置は次のようになります。
■ 小学3年 ―― 2009年度(平成21年度)の移行措置
- 旧指導要領の小学3年での学習内容に対して、
- 物質・エネルギーの領域
-
【ものと重さ】で、「ものは形が変わっても重さは変わらない」「ものは体積が同じでも重さがちがう(ことがある)」を追加する。――粘土などを使って調べ、ものの重さと体積について、基本的な性質を学びます。勘所は〈重さの保存〉(例えば、体重計に両方の足で乗っても片方の足で乗っても、重さは変わらない)です。小学3年ですから、細かい数値化はしません。
【風やゴムのはたらき】で、「風の力でものを動かす」「ゴムの力でものを動かす」を追加する。――風の力については、風の強弱による違いを扱い、風の当たり方(角度など)までは問いません。〈ものづくり〉もすることになるでしょう。
削除はなし。
- 生命・地球の領域
-
【身近な自然の観察】で、「いろいろな生物がおり、色・形・大きさなどがちがう」「生物は周辺の環境とかかわって生きている」を追加する。――子どもたちの関心の高い昆虫その他の小動物を中心に取り上げることになるでしょう。旧指導要領の「昆虫は植物を食べたりすみかにしたりしている」は、後者にふくまれます。観察記録のつけ方、スケッチのし方、観察器具(ルーペ・双眼実体顕微鏡など)の使い方もここで学びます。
削除はなし。
これを新指導要領と比較すると、まったく同じです。
授業時間数は、週2.6コマ(旧指導要領より0.6コマ増)=年90コマ(20コマ増)で、新指導要領と同じです。
■ 小学4年 ―― 2009年度(平成21年度)の移行措置
- 旧指導要領の小学4年での学習内容に対して、
- 物質・エネルギーの領域
-
【水の状態変化】で、「水が氷になると体積がふえる」を追加する。
削除はなし。
- 生命・地球の領域
-
【人体のつくりと動き】で、「人の体には骨と筋肉がある」「人の体は骨と筋肉のはたらきで動く(関節のしくみとはたらき)」を追加する。――自分の体を触って、かたいところ(骨)とやわらかいところ(筋肉)があることを確かめます。さらに、視野を人間以外の動物にも広げて、同じことが当てはまるかも調べます。
【天気のようす】で、「天気によって1日の気温の変化がちがう」を追加する。――これは、小学5年から降りました。
削除はなし。
これを新指導要領と比較すると、「月は日によって形が変わって見える」が追加されずに軽減され、逆に、「落葉樹」「植物の個体の死」が削除されずに残っています。
授業時間数は、週3コマ(旧指導要領より0.4コマ増)=年105コマ(15コマ増)で、新指導要領と同じです。
■ 小学5年 ―― 2009年度(平成21年度)の移行措置
- 旧指導要領の小学5年での学習内容に対して、
- 物質・エネルギーの領域
-
【電流のはたらき】で、「電流が流れているコイルは鉄心を磁化する(電磁石)」「電流の向きが変わると、電磁石の極が変わる」「電磁石の強さは、電流の強さやコイルの巻数によって変わる」を追加する。
「てんびんのしくみとはたらき」「てこのつり合いの規則性」を削除する。――これは、小学6年に上がりました。
「物体の衝突」を削除する。――これは、中学3年に上がりました。この措置により、(旧指導要領では「物体の衝突」とどちらかを選択していた)「振り子の運動」が必修になります。
- 生命・地球の領域
-
【動物の誕生】で、「魚は水中の小さな生物を食べている」を追加する。さらに、「魚の誕生」と「人の誕生」が(どちらか一方の選択ではなく)両方必修になる。――水中の小さな生物を調べるために、顕微鏡の使い方も学びます。
削除はなし。
これを新指導要領と比較すると、次の学習内容が追加されずに軽減されています;「川の上流と下流で、川原の石の大きさや形がちがう」「雲の量や動きは、天気の変化と関係がある」。
授業時間数は、週3コマ(旧指導要領より0.3コマ増)=年105コマ(10コマ増)で、新指導要領と同じです。
■ 小学6年 ―― 2009年度(平成21年度)の移行措置
- 旧指導要領の小学6年での学習内容に対して、
- 物質・エネルギーの領域
-
【電気の利用】で、「電熱線の発熱は電熱線の太さによってちがう」を追加する。――電気抵抗への導入です。(中学2年でオームの法則に発展させます。)
削除はなし。
- 生命・地球の領域
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【人体のつくりとはたらき】で、「体内の主な臓器(肺・胃・小腸・大腸・肝臓・腎臓・心臓)」を追加する。――肺は呼吸に、胃・小腸・大腸は消化・吸収に、心臓は血液循環に関係していることも学びます。
【植物の養分と水の通り道】で、「根・茎・葉に水の通り道(道管)がある」「葉からの蒸散」を追加する。
【生物と環境】で、「生物どうしの食う食われるの関係(食物連鎖)」を追加する。――旧指導要領の「生きている植物体や枯れた植物体が動物によって食べられる」は、これにふくまれます。
【土地のつくりと変化】で、「火山の噴火による土地の変化」と「地震による土地の変化」が(どちらか一方の選択ではなく)両方必修になる。
【月と太陽】で、「月の輝いている側に太陽がある」「月の形の見え方は、(地球から見た)太陽と月の位置関係によって変わる」「月の表面のようすは太陽とはちがう」を追加する。――「月の輝いている側に太陽がある」は、実際に見るわけにはいかないので、モデルを使って実験し、本当の姿を推論します。月の表面のようすは、望遠鏡や双眼鏡で観察できることを扱います(クレーターがあることも)。
削除はなし。
これを新指導要領と比較すると、次の学習内容が追加されずに軽減されています;「てこを利用した道具」「電気はおこしたり蓄えたりできる」「電気は光・音・熱などに変えることができる」「電気を利用した道具」「水は生物と周囲の環境の間を循環している」。
授業時間数は、週3コマ(旧指導要領より0.3コマ増)=年105コマ(10コマ増)で、新指導要領と同じです。
■ 教科書の補充資料 ―― 2009年度(平成21年度)
2009(平成21)年4月時点では、新指導要領に対応した新しい教科書はまだできていないので、児童は旧教科書を持っています。追加事項の大部分は旧教科書には載っていないため、欠落を補充する資料が作成され、児童全員に配布されます。
常在成長(じょうざいせいちょう) ―― いつでもどこでも成長できる